F1 Bar

プロストの転機 若武者からプロフェッサーへ

1984.10.21 ポルトガル・グランプリ(エストリル)

9周目の1コーナーでロズベルグをかわすプロスト

このレースは、それまで持ち前のスピードで勝負してきたアラン・プロスト(マクラーレン)が、速さはなくとも巧妙にレースをまとめるニキ・ラウダ(マクラーレン)に、シーズンの優勝回数で上回りながらも、0.5ポイント差でワールド・チャンピオンを逃したレースです。

なぜ0.5ポイントなのかというと、レースが豪雨のため途中で中止になった、モナコグランプリが通常の半分のポイントしか与えられなかったからです。

プロストにとってこのグランプリは、彼のレース人生においてターニング・ポイントとなったことは間違いないでしょう。

この翌年、翌々年と戦略や精神面など、ラウダから多くを学んだプロストは、スピードに勝るウィリアムズ・ホンダのネルソン・ピケとナイジェル・マンセルを相手に巧みなレース運びで対抗し、2年連続でワールド・チャンピオンに輝いています。

このレースの序盤、先頭に立ったのはウィリアムズ・ホンダのケケ・ロズベルグでした。
これを追うのが2周目にマンセル(ロータス)を抜いたプロスト。予選で11番手に沈んでいたラウダはまだ10位あたりを走行。
トップを走るもの、ハンドリングの悪いケケの頑張りは長くは続かず、9周目のストレートでケケのスリップストリームを利用したプロストが1コーナーのブレーキングでトップを奪います。

ケケはこのあとも素晴らしい走りを見せますが、プロストとの差はどんどん開いていきます。

レースの注目は、必然的にプロストが優勝しても2位以内でタイトル決定となるラウダの動向に注がれます。

そのラウダは、この時点で8番手。
しかし、行く手をアイルトン・セナ(トールマン)、ミケーレ・アルボレート(フェラーリ)、エリオ・デ・アンジェリス(ロータス)、ステファン・ヨハンソン(トールマン)に阻まれている状態です。

チャンピオン獲得のラウダ(中央) 敗れたプロスト(左)は冴えない表情 3位はセナ(右)

26周が過ぎても、まだ7番手に甘んじていたラウダは、ここでターボのブースト圧を上げて追い上げを決意します。

27周目にヨハンソンを捕らえて6番手。29周目にはアルボレートを抜いて5番手に。さらに3周後、必死の抵抗を見せたロズベルグも捕らえて4番手に浮上。

33周目にはセナもかわし3番手。しかし、2位のマンセルとの差は30秒。依然ハイペースで追い上げるラウダですが、その差は変わりません。

ところが、2位のマンセルにとっては、追い上げて来るラウダより、徐々にスポンジーになってくるブレーキのほうが気がかりだったのです。
そして、51周 目、ついにブレーキが効かなくなりコースアウト!その後ゆっくりとピットに帰るのがやっとでした。
これでラウダは労せずして2位に。

このシーズン、圧倒的な速さをみせながら、優勝かリタイヤかを繰り返したプロスト。

往年の速さは失ったものの、確実にポイントを積み重ねてチャンピオンを獲得したラウダ。

毎年のようにタイトルを争いながら、チャンスを逃しつづけてきたプロストは、このシーズン終了後、「チャンピオンのとり方がわかった」と言いました。
そして彼はこの敗北を転機に、生涯4度の世界タイトルを獲得するのです。

このエントリーをはてなブックマークに追加