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プロストの初タイトルとマンセルの初優勝

1985.10.6 ヨーロッパ・グランプリ(イギリス/ブランズハッチ)

歓喜のシャンペンシャワー 悲願を達成したマンセル(左)とプロスト

ふたりの男の長年の夢が実現したレースでした。

共にF1デビューから6シーズン目。
アラン・プロストにとっては、81年以降、毎年のように、チャンピオン争いに加わりながら(特に83、84年シーズンは最終戦で落とす)獲得できなかったタイトルを、5度目の挑戦でようやく掴み、ナイジェル・マンセルにとっては、デビューから72戦目(当時の一番遅い初優勝記録)、エリートではない男の苦労の末の初優勝でした。

シーズン14戦目となる、このヨーロッパ・グランプリは、ポイント・リーダーのアラン・プロスト(マクラーレン・ポルシェ)が、このレースを含め3レースを残し、シリーズ2位のミケーレ・アルボレート(フェラーリ)を16ポイントリードして迎えました。

挫折続きだったプロストにとって、いよいよチャンピオン獲得が現実味を帯びてきました。

予選でポール・ポジションを奪ったのはアイルトン・セナ(ロータス・ルノー)。
この当時流行りだした、即席の「オーブン」で事前にタイヤを加熱しておくワザが功を奏してのポール奪取でした。

ナイジェル・マンセル(ウィリアムズ・ホンダ)は3番手。アラン・プロストは6番手からのスタートです。

決勝はセナとマンセルが好スタートを切り、プロストは動き出しはよかったものの、直前のグリッドで一瞬出遅れたケケ・ロズベルグ(ウィリアムズ・ホンダ)を避けようとグリーンに出たため、トラクションを失い、中団に埋もれてしまいます。

トップを死守するセナ 追うロズベルグがツルリ! 後方はピケ

1コーナーではイン側のセナにマンセルがアウトから並んで進入、しかしセナがアウト側に大きくはらんだため、マンセルはやむなくコースオフし、ロズベルグとネルソン・ピケ(ブラバム・BMW)に先を行かれます。

ロズベルグは1周目からトップのセナにアタックするものの、セナは彼らしく抵抗し、ロズベルグもやはり彼らしく、執拗に首位の座をうかがいます。

7周目にはいって、ロズベルグはパワーに勝るホンダ・エンジンで、ストレートでセナに並びかけ、1コーナーでインに飛び込もうとします、が、セナは頑として自分のラインを譲らず、接触を避けようとしたロズベルグはスピン!

直後を走っていたピケと接触し、ピケはその場でリタイア。ロズベルグはタイヤがパンクしピットインを余儀なくされます。
これでマンセルがセナを追う展開になります。

悲願のF1初優勝のチェッカーを受けるマンセル

セナは「マンセルの方が速かった、特に直線ではね」と語るように、マンセルはわずか3周でセナを攻略、しかも、このふたりの前をタイヤ交換したロズベルグが走っており、ロズベルグはチーム・メイトのマンセルを先に行かせ、「敵」のセナはブロックします。

そして、マンセルが充分なリードを築くと、彼自身もペースを上げてセナを引き離し、さらにマンセルをもパスして周回遅れを挽回します。

後方では、アルボレートの夢が激しい煙とともに消えてしまいました。

8位を走っていた14周目、彼のフェラーリ・エンジンが派手に炎と煙を噴き上げ、ちょうどフェラーリのピット前で止まったのです。

かわいそうなアルボレートはチャンピオン争いの最中、3レース連続リタイアで、その権利を失ってしまいました。

レース終盤、マンセルはセナを20秒以上リードし、プロストはチャンピオン獲得のみを目指し、淡々と4位を走行。

残り数周となり、マンセルのピットからは彼にサインボードを出さなくなりました。マンセルが初優勝に興奮しすぎるのを心配してのことでした。

そしてふたりは無事にチェッカーを受け、苦しみながらも決して諦めることのなかった、それぞれの長年の夢を実現させました。

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