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シューマッハ&ハッキネン時代の到来

1993.9.26 ポルトガル・グランプリ(エストリル)

このレース・ウィークに引退を発表したプロストは、4度目の世界王座を獲得

まさに、時代がセナ、プロストから、シューマッハ、ハッキネンへと移り変わってゆくことを明確に告げるようなレースでした。

これまで、最も速いのはセナ。一番巧いのはプロスト。というのが多くのレース関係者の評価でした。が、このレースでは、今シーズン初参戦となるミカ・ハッ キネン(マクラーレン)が、なんと同じマシンに乗るチームメイトのアイルトン・セナ(マクラーレン)を予選で破り、決勝ではミハエル・シューマッハ(ベ ネトン)が、見事なレース運びでアラン・プロスト(ウィリアムズ)に競り勝ち、通算2勝目チェッカーを受けたのです。

また、このグランプリで4度目の世界チャンピオンを決めたプロストは、金曜日の記者会見でこのシーズン限りでの引退を発表しました。

ハッキネンの予選での走りはセンセーショナルでした。今シーズンのこれまでを、ずっとテストドライバーの座に甘んじてきた彼の鬱憤を晴らすかのように、セナの前、3番グリッドを獲得します。

決勝は、ポールポジションのデーモン・ヒル(ウイリアムズ)がエンジン・ストールでグリッド最後尾に下がり、予選5番手のジャン・アレジ(フェラーリ)がセナ、ハッキネン、プロストをかわし、なんとトップで1コーナーに突入します。

このシーズン初参戦となったハッキネンは、アイルトン・セナに劣らない速さを披露

序盤、先頭は激走するアレジ、続いてセナ、ハッキネン、さらにプロスト、シューマッハが虎視眈々と上位をうかがいます。
緊迫した展開の中、最初に脱落したのはセナでした。20周目にエンジンブローによってリタイア。

20~22周目にかけてトップのアレジ、2位ハッキネン、4位シューマッハが相次いでタイヤ交換のためピットイン。
これでトップに立ったのはプロスト。そして、その14秒後方には最後尾から猛烈に追い上げてきたヒルが迫っています。

29周目と30周目にプロスト、ヒルがそれぞれピットイン。シューマッハがこのレース初めてトップを奪います。
シューマッハはここで2ストップから1ストップへと、このまま最後まで走りきる作戦に急遽変更します。そうとは知らないプロストはシューマッハの後方からレースを静観。

トップを激走するアレジ。追うセナ、ハッキネン、プロスト、シューマッハ、まさにスーパースターたちの競演

さらに、その後方、アレジとハッキネンは相変わらずの超接近戦。
しかし、32周目の最終コーナーでアレジの真後ろにいたハッキネンは、フロントのダウンフォースを失いコーナー外側へコースアウト。そのまま内側へ巻き込み、イン側のガードレールに激しくクラッシュしてしまいます。

レース終盤、シューマッハがもうピットへ入らないと悟ったプロストは、あらためてアタックを開始しますが、このレースを2位でゴールしてもチャンピオンが確定するため、最終的には0.9秒差の2位でチェッカーを受け、4度目の王座を決定しました。

終盤のプロストの追い上げにさらされながらも、シューマッハがそのプロストのような巧みなレース運びで優勝したこと。また、派手なリタイアとなったものの、ハッキネンがセナと遜色ないトップクラスの速さを証明したことが、この2人が次代を担っていくであろうことをはっきりと世界に示したレースでした。

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